地域のリハビリテーション診療における栄養管理では、
「なんとか多くエネルギーを摂って欲しい」患者さんが多くいらっしゃいます。
そんなときに心掛けて実践していることを以下に示します。
 


前回の記事「もうサルコペニアで悩まない」では、

見た目が明らかにサルコペニアなら、サルコペニアと考えていいでしょう。

生活期リハビリテーション医療では、サルコペニアか否かで診断基準に悩むよりも、

「身体機能低下」や「活動制限」がある患者の栄養状態を評価するのが妥当ではないでしょうか。


と書きました。今回はその続きです。


栄養状態の評価法はこの記事の末尾に記載しました。

評価して、低栄養状態の場合、体重1kg増やすには7500kcal要すると考えます。

1か月で1kgの体重増加を目指すなら、

7500÷30=250kcal/day

となり、必要エネルギー量に加えて1日に250kcal多く摂る必要があります。

 

臨床では、少ない努力で高エネルギーを摂取してもらえるように考えます。

食事摂取量が不十分でもエネルギーとタンパク質の摂取を増やしたい時には、

以下のような補助食品が非常に有効な場合があります。

 2019.01 少なくても栄養 表

 2019.01 少なくても栄養 図

食事が摂れなくても、当初は補助食品だけでもいいので摂ってもらうようにします。,

たとえば、パワミナはたったの120g200kcal, タンパク質6gを摂取できます。

ゼリーを吸うタイプで、ふたを閉められるので、
「気が向いたときに、ちょっとずつ口にしてください」という使い方ができます。

 

数日間、栄養補助食品で、ある程度エネルギーが摂れると、飢餓状態だった方は、認知機能も身体機能もしっかりしてきて、食事も食べられるようになってくることも経験します。
「この方は、パワミナを摂れたことで助かった」と思える患者さんもいます。


少しの努力で多くのエネルギー摂取ができる栄養補助食品のバリエーションが増え、ネットで簡単に買えるようになったので、患者さんの好みに合ったものを勧めやすくなりました。
日進月歩で良い商品が出ているので、これからも 最新情報をチェックしていきます。


ー以下は、もう少し詳しく知りたい人の参考資料ですー

栄養のアセスメントツールとしては、
MNA-SF(MiniNutritional Assessment-short form), MUST(malnutrition universal screening tool),SGA(subjective global assessment)などがあります。

MNA-SFを以下に示します。

 MNA-SF

合計点数により、以下のように評価します。

12-14: 栄養状態良好

8-11: 低栄養のおそれあり

0-7: 低栄養

 

必要エネルギー量(totalenergy expenditure : TEE)は、以下のように求めます。


基礎代謝量(BEE:basal energy expenditure)を求め、

活動係数(AF:active factor)

傷害係数(SF:stress factor)

を乗じて求めます。


式にすると、

TEE=BEE×AF×SF

となります。

 

【基礎代謝の推定方法の例】
以下のようなものがあります。


Harris-Benedict
の式:

男性: BEE=66.47+13.75W+5.0H- 6.76A

女性: BEE=655.1+9.56W+1.85H-4.68A

W:体重(kg), H:身長(cm), A:年齢()


体重から簡易推定:

BEE=(2530)W


【係数の例】 (諸説あり)

活動係数:

 寝たきり(意識低下状態) 1.0

 寝たきり(覚醒状態) 1.1

 ベッド上安静 1.2

 ベッド外活動あり 1.31.4


傷害係数:

 飢餓状態 0.6 0.9

 長管骨骨折 1.2 1.3

 癌/COPD 1.2 1.3

 体温 1.0℃上昇→0.2ずつup
 (37℃: 1.240℃以上: 1.8



著者:森山リハビリテーションクリニック 院長 和田真一