肺炎は2011年に脳血管障害を抜いて日本人の死因の第3位に上がりました。

しかし、2017年には第5位へランクダウンしました。


肺炎は減ったのでしょうか?


実は、2017年から死因順位に用いる分類が新たになり
「肺炎」から「誤嚥性肺炎」が独立
して分類項目に追加されました。

このため、これまでの「肺炎」は、

「肺炎」
「誤嚥性肺炎」
に分かれて死亡順位がついています(下図)。


地域医療でもよく経験される
「誤嚥性肺炎」ですが、「肺炎」であると確実に言えても
「誤嚥性である」と確実に言い切れるのか?
難しいと感じている医師は多いと思います。


「誤嚥性肺炎」を独立して表示することは「誤嚥性肺炎」の啓発にはよいのだと思います。
しかし、死因が「肺炎」なのか「誤嚥性肺炎」なのか、臨床現場で確証があるケースは少なく、明確に分けられるものではないと考えます。

わたしたち医師は「明らかな嚥下障害」がある方が「肺炎」になった場合に、肺炎の病巣部位などの
状況証拠をそろえて考え、「誤嚥性肺炎」という判断(診断)をしているのが現状だと思います。
グレーを状況証拠でクロにする場合と、疑わしきは罰せずでシロとする場合があると思います。


「肺炎」であることは間違いないが、誤嚥性といえるかどうか悩む場合は、医師によって「肺炎」「誤嚥性肺炎」で診断が分かれることが想像されます。
摂食嚥下障害をしっかり診ることのできる医師でも、その判断は悩むことと思われます。

 

ですので、従来通り「肺炎」と「誤嚥性肺炎」をひとつにまとめて「肺炎」とすると約13万人になり、2017年「脳血管疾患」の約11万人を上回って3位になります

2019.02 死因統計2017
2018年は、「老衰」が「脳血管疾患」を抜いて3位になりましたが、
それでも「肺炎合計」は老衰を上回り、実質3位となっています。
2019.09 死因統計2018

2019年は「老衰」も増えていますが、肺炎も増えて依然として実質第3位のままです。2020.11 肺炎死因


「老衰」の死亡率が上がったことを報告したネットの記事(202068日付)では、
2016年までの第3位「肺炎」が、
2017年には第3位「脳血管疾患」、第4位「老衰」となり、
2018年には第3位「老衰」、第4位「脳血管疾患」と、
「老衰」の順位が「肺炎」と「脳血管疾患」を抜いたことが、医療・医学等の水準が高まったこと
を示している根拠とされています。

https://gemmed.ghc-j.com/?p=34327


しかし、依然として「肺炎は老衰よりも多く、死因の第3位である」という認識で、誤嚥性肺炎予防、
摂食嚥下リハビリテーションに
」の考えで取り組んでいます。

森山リハビリテーションクリニック 院長 和田真一

当院では地域で生活する方にとって不足している必要なことを提供するという信念、
制度の狭間にある方にも適切な医療・介護・リハビリテーションを提供するという信念
があります。
近隣の他事業所ではやっていないことに価値があると信じています。
同じ思いの方の仲間を募集しています。

2019年2月3日公開
2019年9月24日更新、2020年11月12日再更新