理学療法士にとって、「姿勢を観察する」「動作を観察する」ことはリハビリテーションを行う上で
とても重要な評価です。
しかし、この観察能力は、理学療法士の経験年数や、どこに注目しているのかの着眼点によりバラツキが大きいとも言われています。
【前額面】
前もしくは後ろから見た時の「左右、横方向の動き」が評価できます。
例えば、前額面上の動きとしては、
肩関節の内転・外転、
脊柱の側屈、
股関節の内転・外転など
が挙げられます。
「頭部が右に傾いているな」
「左の肩甲骨が右より上がっているな」
といった表現は前額面上の評価となります。
【矢状面】
横から見たときの「前後の動き」が評価できます。
例えば、
肩関節の屈曲・伸展、
骨盤の前傾・後傾、
股関節の屈曲・伸展など
が挙げられます。
「腰が反っているな」
「体幹が前に傾いているな」
といった表現は矢状面の評価になります。
【水平面】
上もしくは下から見た時の回旋要素「ねじれ」が評価できます。
例えば、
頭部の回旋、
骨盤の回旋など
が挙げられます。
「立位で骨盤が右に引けてしまっているな」
といった表現は水平面上の評価になります。
このように、人の体を3Dとして多面的に捉える必要があります。
そして「基本となる正中位がどこなのか」をしっかりと把握している事が重要で、
そこから「右に曲がっている」「腰が反っている」など、
正中位と比較してどのように逸脱しているかを理解する必要があります。
私は人に関わらず、構造物などを多面的に見る事がとても好きです。
違う角度から見たギャップにテンションが上がります。
旅行に行った時などは、前額面(前もしくは後ろ)から見るだけでなく、物珍しさについ矢状面(横)から構造物を見たくなります。
これは、横浜の大観覧車です。
これは、マカオの聖ポール天主堂跡です。
これは神戸のルミナリエです。
前額面から見ると、こんなに素敵で、煌びやかで、堂々としていても、
矢状面から見ると、こんなにも薄っぺらくて、びっくりしつつ、
また、そのギャップにテンションが上がってしまう事が多々あります。
普段から物事の「どこに着目するか」
また、「多面的にどのように捉えるか」「それをどう表現するか」
といった思考は、患者さんのリハビリテーションをおこなう上でも非常に役立つのではないか思います。
森山リハビリテーションクリニック リハビリテーション部 理学療法士 田中香澄
2019年2月5日公開
2020年5月7日更新