私は言語聴覚士ですが、桜の季節は家にこもっているなんて勿体なくてできません。
お身体の状態が許せば、あの手この手を使って、利用者さんをお花見に連れ出すことにしています。
訪問リハビリテーションの利用者さんは、自力では外に出ることが難しい方が多いです。
私が担当している利用者さんは、何も働きかけなければ家のベッドの上で寝ているか、テレビを眺めている方が多いのです。
他者との関わりは、ご家族だけということも珍しくはありません。
先週、満開の桜が咲く公園に、ある利用者さんを奥様と一緒に車椅子でお連れしました。
春休みということもあり、大勢の親子連れがお花見に来ていました。
その利用者さんの自宅での日常的な発話明瞭度は4〜5
その方が、まず、満開の桜を見て、
「満開だ」とおっしゃいました。
元気に走り回る子どもたちを見て
「子どもがいっぱいだ」と笑顔になりました。
それだけでもお連れしてよかったと思ったのですが、なんと、走り回る子供に向かって
「危ないよー」と声をかけたり、
「こんにちは」と手をふったり、
私の想像を超えるコミュニケーション能力を発揮してくださいました。
しかも、普段のリハビリテーションの時には出したこともないような大きな声で!!
それを見守っていた奥様も私も思わず笑顔になりました。
やはり、「心が動けば身体は自然と動くのだなあ」ということをここでも強く感じました。
小さなことかもしれませんが、その積み重ねが利用者さん方の、心身の状態の維持・向上につながるように関わっていけたらと思っています。
森山リハビリテーションクリニック 介護事業部 言語聴覚士 渋谷理恵
2019年4月8日公開
2019年4月15日追記
【追記】
訪問リハビリテーションでは、自宅周囲の「外出にまつわる活動」が目標になることがあります。
しかし、外出にまつわる支援をする際に、多くの方が疑問に思うことは、
「居宅以外の場所で訪問リハビリテーションをしてよいのか?」ということです。
その場合、しっかりと会議を持って、ケアプランに反映していれば「外出練習」は可能です。
訪問リハビリテーションでは「ケアプランにないのに外出する」ことや「医師の指示書にないのに外出する」ことはNGです。
上記のブログに載っている方は、前月に医師、ST、看護師、ケアマネ、PTが患者さん宅に集まって
サービス担当者、リハ会議をおこない、本人、家族の意思も確認して、心身の機能の維持回復を図るための目標を設定しました。
居宅サービス計画書には「季節のお花を見に行く」「サービス提供の中で、リハビリの方や看護の方と、家の外に屋外リハビリとして外へ出る機会を待つ」と記載しており、手続きとしても問題ありません。
外出時には、施設内や居宅内では引き出せない能力が出ることがあり、ご本人の活動や参加の拡大につながっていければと思います。
森山リハビリテーションクリニック院長 和田真一