56回日本リハビリテーション医学会学術集会に参加して諸先生方のお話を聞き、

一番心に響いたことは

「回復期、生活期のリハビリテーションで療法士がやるべきことは何か」

ということです。

2019.06 リハ学会大脇
「リハビリテーション科医は
生活期のリハビリテーション医療にどのようにかかわるべきか」

というシンポジウムで当院非常勤医師であり昭和大学医学部リハビリテーション医学講座教授の川手先生や、東京湾岸リハビリテーション病院院長の近藤先生は

生活期でも漫然と機能訓練が継続された状況があった。患者さんの横で療法士が汗をかいても意味がない

「動作訓練をするのはスポーツと同じように考えるわかりやすい」

とおっしゃっていました 。

(近藤国嗣:生活の場での活動(動作)を向上させるためのリハビリテーション医療
2019.より一部引用)


たとえば、野球選手がバッティングを良くしたい場合を考えます。

バッティングを良くするにはボールをバットで打つ練習が必要です。選手がベッドに寝て、コーチが一生懸命ストレッチやマッサージをしてあげることでは、バッティングが良くはなりません。また、サッカーの練習を一生懸命しても直接的にバッティングは良くなりません。
獲得したい動作があるなら、その動作を反復練習する必要があります。バッティングを良くしたいなら、毎日毎日、バットを振る必要があります。コーチが汗をかくのではなく、本人が汗をかく必要があります。
生活期のリハビリテーションでも、患者さんがベッドに寝て、セラピストが頑張ってマッサージするのでは動作の獲得にはつながりにくいです。
患者さんの生活する場所で必要な動作は、その動作を繰り返し練習するしかありません
立ち上がりが課題なのであれば、生活で立ち上がる場所で繰り返し立ち上がる練習が必要になります。セラピストが汗をかくのではなく、本人の頑張りを要します。

しかし、ただ漫然と動作訓練をしているだけでは代償動作などの「して欲しくない動作」も生じてしまう恐れがあります。そのような動作を防ぐために、土台作りとしてベッド上での機能訓練も有効な場合もあります。
一方で、リハビリテーション室のベッド上で療法士が主体となった機能訓練をすることが大事な時期や状態もあります。しかし、生活期の患者さんでは機能訓練を重視し過ぎることが本人のためにならないケースもあると考えます。

結論としては、療法士主体の機能訓練と
患者さん主体の動作訓練の比重を適切に療法士が設定し、より患者さんに有益になるようにリハビリテーションをすることが重要だと思いました。


他の先生方もとても貴重なお話をしてくださいました。

正直なところ、私は理学療法士になってからあまり勉強会や学会には参加していませんでした。

学会へ参加したことにより、色々な先生方から刺激を受け、大変勉強になったので今後は定期的に勉強会や学会に参加したいと思いました。


そこで学んだ知識を
理学療法に反映させ、患者さんに還元していきたいと思っています。


森山リハビリテーションクリニック 理学療法士 大脇燿


2019年6月24日公開
2021年2月11日更新
2023年7月12日再更新