私は十数年前、
理学療法士として10年間大学病院に勤務していましたが、

10年必死に理学療法に向き合ったら、全く違う事がしてみたい」
という思いが芽生えていました。

また、
素敵な先輩方や後輩達に恵まれて、
好き勝手言える様な楽な立場でもあったのに、

このまま何不自由なく
今と同じようなリズムで働く事への
「漠然とした将来への不安」
が襲っていた時期でもありました。

そこで、
お世話になった職場を退職し、
理学療法とは全く関係のない語学留学を決めました。

先輩方からは、
ここからという時に何で?!
と理解できない様子でしたが、

1
年間やってくる!
と決断して覚悟を決めてからは、
ものすごいスピードで事が進んでいったように思います。

2019.09 hawaii2
ハワイのオハフ島を選んだ理由としては、
元々ハワイが大好きでサーフィンも出来るし、
困ったら日本人も多いし何とかなるかな、
という安易な思考は否めませんが、

実家暮らしだった私は
海外生活が初めての一人暮らしとなり、
困ったことの連続でした。

銀行カードを落としたり、
水着で部屋から出たら
鍵を中に置き忘れてインロックされてしまい、
2日間家に入れなかったり、

マイクロレンジでピザを解凍したら
焦がしてしまい部屋中が煙に包まれ
火災報知器が鳴ってセキュリティーが出動したり、

失敗談はキリがありません。

それをつたない英語(ほぼボディーランゲージ)で対処し、
今思うと笑える話になって
良くやったなぁと思います。


語学学校は日本人以外に、
スイス人、韓国人、台湾人が多いクラスでした。

授業では、クラスのパートナーをどんどん変えて、
課題のイディオムを使って自分のエピソードを話していくのですが、
私が一番感じた事は、
英語で会話を組み立てる前に、
日本語ですら自分の事を主張することに慣れていないため、
エピソードさえなかなか思いつかない事でした。

また、
兵役制度がある国々の人達が多く、
日本人には想像がつかないような経験をしており、
自分の国に対してしっかりとした意見を持っている事に
大きな違いを感じました。

様々な国の友達と出会えたことは、今では私の財産となっています。


生活が慣れてきた頃、
「何もしないをしに行く」と決めて
ビーチに一人でボーッとしに行っても、
自然に仕事の事を考えている自分がいました。

私が夢中になってやっていた事と言えば、
「ハトの歩行分析」でした。

やたらに首を振っていると思いきや、

一歩足を出すと同時に首を前進
→頭部を静止
→反対側の足を出すと同時に静止している頭部に体を合わせる

という特徴がありました。

後から調べてみると、
頭部を静止するのは
視覚情報を正確に得るための反応の様です。

これは、今では
私が患者さんに立位バランスの練習をする際、
頭部を動かさずに
頭部以下の体のパーツを分節的に動かす練習
につながっています


その後、
理学療法士心に火がついたのでしょうか、
やはりハトではなく人に触れたくなり、
ロミロミマッサージの学校にも入りました。

先生に私が
PhysicalTherapistという事を伝えると、
「じゃあ早速やってみよう」と言う話になり、
先生の知り合いのフランス人の画家さんを呼んで
被験者になってもらい、
いきなり手技の指導に入りました。

今までの経験上、
母指球や指尖を使う手技は、
それらの感覚は敏感のためすぐにマスターできました。

しかし肘を使った手技では、
今まで全くやったことのない流れの中で
肘を動かして肩甲骨間に入れていくのですが、

「自分の肘はこんなに感覚が悪いんだ」と思うほど、
自分の力の加減がわからず、
また、相手の呼吸や反応を感じることができずに苦労をしました。

学校で学んだ事、感じた事は多々あるのですが、

「対象者をうつ伏せにしてこちらが動く時は、
どこか患者さんの背中なり下腿なり一点を常に触れながら移動する」

というものが印象に残っています。

特にうつ伏せの状態は
対象者はこちらが何をするのか
見えない状態・雰囲気を感じにくい状態のため、

リラクセーションを目的とする手技の場合は、
施術者が対象者に常に触れた状態でなければ
緊張が上がりやすい
事を学びました。

今でも私は、
患者さんをうつ伏せにして自分が移動する時は
この事をとても意識して取り組んでいます。


「理学療法とは全く違う事がしてみたい」
と思って、留(遊)学をしたのですが、

この様に
「結局私は仕事が好きなんだ」
と言う事がよくわかりました。

やりたい事があれば
幾つになっても遅いという事はないし、

恥をかいて、失敗して、
価値観の違う様々な国の友達と触れて、
自分と向き合う時間を持って、

これらの経験が今の自分を作っているんだな
と強く感じています。


また、
高齢化社会において、
この仕事は自分より遥かに人生の先輩が対象になるため、
技術ももちろん大事ですが、
こちらの人間力が試されているとも思います。

高度なコミュニケーションが求められる
「人」が業務の対象となる「感情労働」は、
親身になる基本的姿勢の他に、
求められる感情表現をする事も必要
で、

且つ、自分の感情をコントロールして
「自分」と「相手」の境界を保つメンタルが重要となってきます。

まずは、
自分と向き合って、
価値観や感情の振れ幅を自覚して自己調節
できるように、
これからも色々な事に興味を持ち
人生の経験を積んでければと思います。


最後に、
毎年有給休暇でハワイに行くのですが(心の里帰り)、
有給を取りやすい環境を作ってくれる職場には感謝しています。

スタッフ皆ながお互いに有給休暇を気持ちよく取れる様に、
日々それぞれがやれる事をきっちりやって行こうと思います。

 

森山リハビリテーションクリニック 理学療法士 田中香澄
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