新型コロナウイルス感染症が世界的に流行しており、
飛沫を避け、手指衛生を保つことや、外出自粛して、⼈との接触を控える対策が求められています。

感染を防ぐための外出自粛対策が⻑期化すると、
外出しないことや⼈との交流が減ることによる健康的なデメリットも懸念されています。


外来診療でも、80代で今まで30004000歩/日の散歩をされていたが外出しなくなり、
多くて600歩/日に減少し、実際に立位バランスが低下

(セミタンデム立位20秒以上→5秒程度へ低下)
している方もいらっしゃり、
危惧しています。


2020
4月に⽇本⽼年学的評価研究から、

外出や交流、参加を控えることで、どの程度のリスクが予想されるのか、それらを踏まえどうすればよいのかをまとめた研究レビューが公開されました。

「新型コロナウイルス感染症流行下での高齢者の生活への示唆 」

【内容要旨】
閉じこもりや⼈との交流が減ることが
認知症の発症や要介護リスクの増⼤に影響を与える。

外出や歩⾏、⼈との交流、社会参加は、
⾼齢者の転倒、⾼⾎圧、糖尿病、うつ、
認知症、要介護、死亡等のリスクを減少し、
地域全体の⾼齢者の健康を向上するのに必要な機会といえる。

このことから、
3つの「密」を避けながらの交流や運動は、
認知症や要介護を予防するためにも必要であると考えます。
感染リスクを抑えつつ、
これらの機会を増やす⽅法を⼯夫する必要があります。

具体的には、
密集を避けて数⼈の少⼈数で外出したり、
密閉空間をさけて換気をした室内や屋外で、
密接しないように
⼈と⼈の距離を2m 程度開けながら交流したり、
あるいは電話やメール、SNS など
インターネットを使った交流であれば、
感染のリスクは低く、
外出や参加、交流によるメリットの⽅が⼤きくできると考えられます。

また、
感染拡大防止のための外出自粛期間中における屋外運動時の注意点と工夫
【公認・推薦学協会】日本サルコペニア・フレイル学会、日本健康支援学会 
の動画が公開されています。


【内容要旨】
心身の健康のため、
感染リスク低下を配慮した上での屋外運動は、
不要不急の外出に含んでいません。

感染リスク低下への配慮とは、どのようなものでしょうか?

  • 他人とは1.8m2m以上の距離を保ってください。目安として、お互いに手を広げても余裕で当たらない距離です。
  • できるだけ1人で実施してください。誰かと実施する場合は、同居する人と、先程の距離を確保してください。
  • 人が集まらない場所で実施してください。海外では、公園やランニングコースに人が集まりすぎたため、それらの閉鎖や、屋外での運動規制が強化された例があります。
  • 運動は、自宅から半径2キロ以内、出来れば1キロ以内に留めてください。
  • 時間は1時間/日以内です。

元気な方はジョギングをしてもいいでしょう。
体力に自信の無い方は、歩行だけでも十分効果があります。

 

上記のような発表を参考に、現実的な屋外の運動を考えると、

  • 散歩は1人または同居する人と近所の人通りの少ない場所でおこなう。
  • 知り合いに会っても2m以内に近づいて立ち話やたむろをしない。
  • 他人が触れる可能性のある場所に触れたあとは手を洗う。

などが注意点になると思われます。

 

外出自粛は長期戦の様相を呈しています。
最新の情報を取り入れ、細心の注意を払って、取るべき行動を考えていきたいと思います。

 

森山リハビリテーションクリニック院長 和田真一