理学療法士は、自分がやったことのないスポーツや動作を分析して、問題になっている部分を抽出し、自分なりの言葉で相手に伝えて指導をしなければならない場面もありますね。

今回はそんな仕事上の性から
「ムーンウォーク、指導してみた」という話です。

コロナ禍でお篭り生活が増えたこの頃、
私は自宅にプロジェクターと70インチのスクリーンを買い、映画を見たり、音楽映像を見たりしながら躍りまくっています。

私が初めて海外のアーティストのコンサートに行ったのが、東京ドームでのマイケル・ジャクソン
Dangerous World Tour 1992」でした。

ペプシコーラがスポンサーだったのですが、関係者だった友達のお父さんに招待をしていただき、当時高校生だった私は、マイケルの圧巻のステージに体が震えたのを覚えています。

マイケル・ジャクソンといえば、ムーンウォーク(バックスライド)のパフォーマンスが有名です。
全くダンスをやった事のない人でも、一度はなんとなく真似をしたことがあるのではないか思います。

そこで、全くダンス経験のない理学療法士の私が、ムーンウォークの動作分析をしてみて、
これまたダンス未経験の被験者のリハスタッフ指導・練習をしたらどうなるのか?!
実践をしてみました!

 

<手順>

1.     マイケル・ジャクソンのライブ動画「Billie Jean」のムーンウォークを見て、
コマ送りにしキャプチャ。まずは6相に分ける(下図)

2.     6相それぞれ、下肢の関節運動等を書き起こす(下表)

3.     それを見てまずは自分でやってみる。

4.     被験者に指導するため、やり方のコツの書かれた物を読んで、全体の流れ・運動・方法を簡単な言葉に直す。

5.     被験者には、まずは何も指導せず、イメージでムーンウォークをやってもらい動画を撮る。

6.     指導開始。
マイケル・ジャクソンの動画と被験者の動画を、全体の流れとコマ送りで比較して見てもらい、フィードバックする。

7.     被験者の出来ていない部分を相に分けて、段階づけた練習をする。

8.     20分程度の練習後、再びムーンウォークをやってもらい動画撮影。

9.     それを見てもらい、フィードバックして終了。


【ムーンウォーク動作の6相】

全体的なイメージを言葉にすると

  • 「スー、スー、スー」と滑らかに足を後ろに滑らせる。
  • 頭部の位置は動かさない。
  • マイケル・ジャクソンの体幹前傾姿勢は約10度〜15度。
2020.11 1 マイコ―

1.     スタート位置は左つま先を立てる

体重の半分以上は左に乗っている。右足はベタ足。

2.     バックスライド1歩目(右足)

体重の半分以上は左足のつま先にかかったまま、
右足をベタ足のまま後ろに引いていく。
我慢できなくなるところまで右足を引いたら、
つま先立ちになっている左足の踵を「トン」と下ろす。

3.     バックスライド1歩目(右足)終了と2歩目(左足)の切り替え

前相で左の踵を「トン」と下ろすと同時に
右足のつま先立ちを作る(体重は左の踵と右足のつま先)。

4.     バックスライド2歩目(左足)

体重の半分以上は右足のつま先にかかったまま、
左足をベタ足のまま後ろに引いていく。

5.     バックスライド2歩目(左足)の終了と3歩目(右足)の切り替え

我慢できなくなるところまで左足を引いたら、
つま先立ちになっている右足の踵を「トン」と下ろし、
左足のつま先立ちを作る。

6.     1のスタート位置に戻る

以降、繰り返し。


【ムーンウォーク動作6相の動作分析】
2020.11 動作分析表

 
上記のように【ムーンウォーク動作の6相】という分析をしたうえで、いよいよ、被検者さんにムーンウォーク動作指導をしてみました

さて、どんな結果になるか?
次の記事で紹介します!


森山リハビリテーションクリニック リハビリテーション部 理学療法士 田中香澄

2020年11月23日公開
2022年10月3日更新