脳卒中などの中途障害のある人が長期的にその人らしい生活を構築していくための「主体性」

 

リハビリテーション、障害者福祉の現場や地域包括ケアシステムにおいて
「障害のある方の長期的な回復には主体性が大事である」
ということを経験的に分かっている専門職の方は少なくないと思います。
そして、障害のある方の主体性を支えるかかわり方を実践されている専門職もおられると思います。


しかし、生活を再構築するための「主体性とは何なのか?」

2019.05 主体性回復モデルJ


その答えのひとつとして、「脳損傷による中途障害者の長期的な主体性回復のプロセス」が、

”Japanese Journalof Comprehensive Rehabilitation Science (JJCRS)” 電子ジャーナルに2019年5月アップロードされています。


論文の内容をかいつまんで、主体性が回復していくプロセスを以下のリンクで簡単にまとめています。
「第0、1段階」「第2~4段階」

2018
年4月4日に投稿したものが1年以上かかってようやく形になりました。


この「主体性回復モデル」は、主体性の議論するためのたたき台だと考えています。
いろいろな方により工夫され、もっと使いやすく分かりやすい修正版ができて、
障害のある人のより良い生活につながる主体性の理解の助けとなって欲しいと思っています。


医師としては馴染みのうすい質的研究であったこともあり、
この論文を査読いただいた方には大変困難な作業にお付き合いいただいたと思います。

何往復もの査読のやりとりで確認を進め、適切な記述に改編した結果、時間はかかりましたが、論文としてかたちになりました。

 

この雑誌”JJCRS”は、リハビリテーションに関するOpen access journal (どなたにも見ていただける雑誌)です。紙媒体はありません。


英文誌でありながら日本語で投稿するという珍しい雑誌なので、
「英語論文」と「日本語論文」の両方が閲覧できます。


英語タイトルは
The long-termprocess of recovering self-leadership in patients with disabilities due to acquired brain injury”

「主体性」を訳す際に一般的な“Autonomy”ではなく、”self-leadership” と訳しました。

 

主体性の議論が広まり、いろいろな方により提案や工夫がなされ、主体性への理解が進み、障害のある人のより良い生活につながっていくことを目指します。

 

日本語論文URLhttp://square.umin.ac.jp/jjcrs/2019_29-36j.pdf

英語論文URL:http://square.umin.ac.jp/jjcrs/2019_29-36e.pdf
でご確認いただけます。

森山リハビリテーションクリニック 院長 和田真一

2019年5月10日公開
2023年5月3日更新