有酸素運動は、血中のLDLコレステロール・中性脂肪や体脂肪の減少が期待でき、
冠動脈疾患や高血圧などに効果があるとされています。

私は身体を動かすことが好きなので、以前は週1回程度ジョギングを行っていました。
しかし、コロナ渦になってしばらくは
走って大きな息をすると、もしかしたら周りにウイルスを撒き散らしているかもしれない」
と提言があり、そこからはジョギングすらも控えていました。
しかし、1年以上前から
「ソーシャルディスタンスを保ち一人でジョギングを」
とも提言されており、マスクなどを着けてジョギングをしている方をよく見かけます。
2021.01 離れてジョギング
しかし、呼吸がしづらくなるので、マスクを着けての有酸素運動はどうしても消極的になってしまいます。

そこで、
「大きな息をしなくても効果的に行える有酸素運動はないか?」
を調べてみました。


健康に良い運動強度の一つに、福岡大学の田中宏暁先生が提言した「ニコニコペース」というものがあります。
言葉の通り、笑顔を保って走れるくらいゆっくりしたペースのことです。

このペースは心拍数で表すと
{(220-年齢)-安静時心拍数}×0.5+安静時心拍数
とされています。
(これをKarvonenの式と言います)

このペースであれば無理なく30分~1時間の運動が可能であるとされています。
2021.01 にこにこジョギング男性
ニコニコペースは笑顔を保って走れるくらいのペースなので、大きな息をしなくてもできると考えられます。



有酸素運動のペースがわかったので、次はどのくらいの時間(頻度)を行うのが理想的なのでしょうか?

身体活動量の指標として「メッツ」という言葉があります。
この「メッツ」とは、座わって安静にしている状態を1メッツとした身体活動の強さを数値化したものです。
ニコニコペースは46メッツとされています。

厚労省の「内臓脂肪減少のための運動」によると、1週間で
10メッツ・時以上の運動量を目標にすると良いとされています。
この「メッツ・時」という単位はメッツに実施時間をかけたものです。

計算方法が複雑なので割愛しますが、私が様々な文献を基に計算したところ
1日あたりニコニコペースで20分以上の有酸素運動を行えば、10メッツ・時の運動を行うことができるとわかりました。


有酸素運動のペースがわかったので、ニコニコペースとはどのようなものなのかを実際に行ってみました。
その結果は別の記事「ニコニコペースで運動してみた」で紹介しています。


森山リハビリテーションクリニック 理学療法士 大脇燿


 
参考文献

〇厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

〇田中宏暁:ニコニコペースの効用,体力科学 第54巻 39-472005
〇正保哲,洲崎俊男ほか:Karvonen法による運動負荷強度における生体反応,理学療法学 第26巻 第1号 33-392011
〇田中宏暁:健康とランニング,体力科学 第65巻 第1号 242016
〇厚生労働省 内臓脂肪減少のための運動

KYOWA KIRIN DREAMEX スロージョギング

〇厚労省 健康づくりのための運動指針

2021年1月4日公開
2022年2月14日更新